〈無限大〉【助成金情報】いまから確認しておきたい雇用調整助成金の「通常制度」

雇用調整助成金は、新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)の感染拡大で大きな関心を集め、多くの企業が活用する制度となりました。

制度自体はかなり前から、企業の雇用維持に対する助成金として整備されていました。新型コロナに係る特例として要件の緩和が続けられてきましたが、一部の経過措置を残して特例が廃止され、通常制度となります。

以下は経過措置の対象ですが、通常制度として押さえておきたいポイントのため、内容を確認します。

計画届の提出

新型コロナの特例では、休業等を行った実績について申請を行うことで、雇用調整助成金を受給できましたが、通常の制度では休業等の実施前に、事前に計画届やその他の書類を提出する必要があります。

この計画届には、1ヶ月単位に区切られた判定基礎期間ごとに、休業の予定日、休業予定の対象労働者実人員、休業の予定日数を記載することになっています。

事前に計画届の提出のなかった休業等については、雇用調整助成金の支給対象とならず、提出した計画届の内容に変更があった場合には、休業等の実施日前に変更を届け出ることが必要です。

休業と残業時間の相殺

新型コロナの特例では、休業等の実施日以外に残業をしたり、休日出勤をしたりしたとしても、休業等の実施日に雇用調整助成金が支給されます。

雇用調整助成金は、経済的理由により事業所の業務量が減少した状況下において、企業が従業員を解雇せずに、休業等によって雇用を維持した場合に助成が行われるものです。従業員を休業等させる一方で、時間外労働や休日労働がある場合、それが突発的・一時的なものであったとしても、助成の対象となる休業等の延べ日数から、その時間外労働や休日労働があった分が控除されます。

具体的には雇用調整助成金の額を算定する際の「休業等延べ日数」の算定に当たり、時間外労働や休日労働に該当する時間分を控除します。

事業場一斉の短時間休業

雇用調整助成金は1日単位で従業員を休業させるほかに、1日の一部を休業させる場合にも対象となります(短時間休業)。

短時間休業は、休業を実施する事業所の対象従業員全員について一斉に1時間以上行う必要があります。

なお、交代制やシフト制勤務を採用している事業所において短時間休業を実施する場合や、有給休暇を取得している者以外の者が短時間休業を実施する場合などにおいては、短時間休業中に事業所の対象労働者が一人も就労していない場合に助成対象となります。  新型コロナを理由とする休業等で、判定基礎期間の初日が2022年12月1日から2023年3月 31日までの間の休業等は、経過措置としてこれらの要件は適用されないことになっています。4月以降も雇用調整助成金の申請を検討される場合には、通常制度をしっかりと理解しておきましょう。

社会保険労務士法人 タックス労務管理事務所