「扶養控除申告書」とは
皆さんが毎月渡される給与の明細を見ると「所得税」が天引きされていると思いますが、この所得税は、給与の額(正しくは社会保険料控除後の給与月額)と扶養親族等の数を「給与所得の源泉徴収税額表」に当てはめて決められます。扶養親族等の数を確認する書類が「扶養控除の申告書」です。そのため、その年の最初の給与が支払われる前に提出する必要があるのです。
なお、「扶養控除申告書」の事前提出がないと、月々「給与所得の源泉徴収税額表」の右側にある「乙蘭」の高額な税額で天引きされ、勤務先では年末調整ができません。
「扶養控除申告書」には住民税に関する事項もあります。
①「16歳未満の扶養親族」欄
所得税でも住民税でも「16歳未満の扶養親族」は「控除対象扶養親族」から除外されているのに、なぜ、住民税に関する事項欄では、「16歳未満の扶養親族」を記載する必要があるのでしょうか。
そのわけは、住民税には非課税限度額(これ以下の所得なら住民税は払わなくてもよい基準額)があり、その算定の際には16歳未満の扶養親族の数も含めて算定します。その限度額の算定の際に必要になるため、申告書に記入が求められているのです。
興味のある方は、非課税限度額はお住いの市町村で異なりますから、お住いの市町村のホームページで非課税限度額を確認してください。
②「退職手当等を有する配偶者・扶養親族」欄
令和5年分の扶養控除申告書に、「退職手当等を有する配偶者・扶養親族」欄が新たに設けられました。
所得税と住民税では、配偶者控除や扶養控除を適用するうえでの、所得の条件が異なります。所得税では退職所得を含めた合計所得金額で判断しますが、住民税では退職所得を含めない所得金額で判断します。
令和4年までは、退職所得を含めないためには、配偶者・扶養親族の方は別途住民税の申告をしないと適用されなかったため、ほとんどの人がその制度を知らずに適用されない状態が多く発生していたそうです。
そこで、正しく適用されるために、令和5年分から、退職手当をもらった場合に記入する欄が新たに設けられました。
タックス総研魚津事務所 社員税理士 沓掛 勉