〈無限大〉第一印象を味方につけよう

第一印象は3~5秒程で決まるといいます。数秒で相手を判断するなんてと思われるかもしれませんが、これは「生存本能」が関係しています。

現代社会では想像しにくいですが、狩猟時代で想像してみてください。知らない人や動物に遭遇した時、敵か味方かと瞬時に判断しなければ命の危険にさらされます。身を守るため、人は相手が信頼できる人なのか、安心してもよいのかを一瞬で判断する必要があるのです。

【第一印象はどこで判断する?】

初めて会う人に対してどこに注目するでしょう。一番に目に入るのは「顔」ではないでしょうか。

人を見る目は、対人的な経験等の社会的経験からによるものと思われがちですが、乳児でも顔の印象を知覚しているという実験結果もあり、2歳から6歳の幼児に対する実験では、その人がいい人そうかどうかについて、比較的小さい頃から大人と同じように判断できることも分かっています。

本能的働きにより経験や年齢に関係なく判断できるのであれば、やはり見た目、態度、しぐさ、表情、視線といった視覚情報が第一印象を大きく左右するといえるでしょう。

【第一印象はいつまで続く?】

初頭効果という心理的働きがあります。最初に受けた印象が特に残りやすく、以後の評価にも影響を与える心理効果のことをいいます。例えば、近所の子供が成長し大人になってもかわいく見えることがありますが、これは幼かった頃の「かわいい」という印象がいつまでも抜けないためです。

もう一つ例を挙げます。どちらの方が好印象を受けますか?

A:知的→勤勉→衝動的→批判的→頑固→嫉妬深い

B:嫉妬深い→頑固→批判的→衝動的→勤勉→知的

順番を入れ替えただけですが、Aの方に好印象を感じるのではないでしょうか。

「第一印象はすぐに覆せる」と思うかもしれませんが、数秒で判断した印象は初頭効果などの心理作用によりなかなか払拭されません。心理学の一説によれば、一度決まった第一印象を覆すには、最低でも相手と2時間じっくり、お互いに語り合う必要があるといわれています。

見た目だけで相手の内面を正確に判断することはできないにも関わらず、第一印象は外見のような表面的な手がかりに基づいて、瞬時に判断され、かつ初頭効果などの心理効果により強く残ります。

第一印象は偏った見方になりがちだとわきまえることもお互いに必要なことですが、視覚的情報での判断が大きいという点は味方につけることもできます。

目を見て挨拶するだけ相手に与える印象は違ってきますし、笑顔は相手にも伝染します。服装を整え、姿勢を正せば相手への印象だけではなく、自分の気持ちも上向きにしてくれ自信につながります。

コミュニケーションの入り口として、自分の第一印象を客観的に考えてみることも、一つ一つの出会いを大切にすることになるのではないでしょうか。