〈無限大〉税制改正の大綱「インボイス制度」

インボイスとは?

昨年の12月に「令和5年度税制改正の大綱」が閣議決定されました。税制改正大綱とは翌年度以降の税制改正の方針をまとめたものであり、財務省のホームページで公開されています。今回はその中からインボイス制度について取り上げたいと思います。

インボイスとは適格請求書のことであり、売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるものです。今までの請求書に加え、登録番号、適用税率、税率ごとに区分した消費税額等を記載する必要があります。
売手は買手からインボイスを要求された場合、インボイスの写しを保存した上で買手に交付する必要があります。
買手は仕入税額控除をする際にインボイスの保存が必要です。


インボイス制度は課税事業者にも免税事業者にも影響してきますので、どの点が改正されたか見ていきましょう。

① 適格請求書発行事業者の登録申請書の申請期限が延長となりました。
元々は令和5年3月31日が申請期限でしたが、この閣議決定に基づき、令和5年9月30日までの申請については、インボイス制度が開始する令和5年10月1日を登録日として登録されることとなります。申請をされていない方は今一度シミュレーションしてみてもよいかもしれません。

② 免税事業者からインボイス発行事業者になった方は、税負担や事務負担を軽減する目的から売上税額の2割を納税額とすることができます。
対象となる期間は令和5年10月1日から令和8年9月30日を含む課税期間となっており、事前の届出が不要となっています。簡易的で事務負担が少なくなりますが、特例を使わない方が納税額を抑えられるケースもございますので、シミュレーションをして選択することをお勧めいたします。

③ 2年前(基準期間)の課税売上が1億円以下または1年前の上半期(個人は1~6月)の課税売上が5千万円以下の方は、1万円未満の少額取引に関して、インボイスの保存がなくても帳簿の保存のみで仕入税額控除ができるようになります。
対象となる期間は令和5年10月1日~令和11年9月30日です。

仕入税額控除の適用要件は要件を満たした帳簿と請求書の保存となっています。適用要件を満たす帳簿の条件は

⑴仕入先の氏名又は名称
⑵仕入を行った年月日
⑶仕入の内容
⑷仕入にかかる支払対価の額(消費税相当額を含む)

の4つを記載することです。

ご自身で帳簿を作成されている方は、上記の要件を満たすように記帳の程宜しくお願い致します。

インボイスの登録をされた方は、請求書の様式の変更やレジシステムの変更等、インボイス制度に対応するための準備を始める必要があります。

インボイスの登録はしたけど何をすればよいか分からない方や、対応の仕方にご不安がある方は、お気軽に担当者までお尋ねください。

(タックス総研 税務コンサル1課)