【コラム】消費税の課税制度の切り替え

本則・簡易・2割特例

中小事業者の納税事務負担に配慮する観点から、売上に係る消費税額を基礎として仕入れに係る消費税額を算出することができる簡易課税制度が設けられています。みなし仕入れ率は事業区分によって異なり、消費税の納付税額を売上に係る消費税額の10~60%とすることができます。

また、令和5年10月から開始されたインボイス制度に合わせて、免税事業者からインボイス発行事業者となった事業者の方を対象に、消費税の納付税額を売上に係る消費税額の2割とすることができる制度が新設されました。

本則・簡易の切り替えルールについて改正はありませんが、まとめておさらいをしておきましょう。

2割特例は手続き優遇

2割特例の適用は①令和5年10月以降に免税事業者からインボイス発行事業者になり②基準期間(前々年もしくは前々年度)における課税売上高が1,000万円以下の事業者であれば、資本金1,000万円以上の新設法人や調整対象固定資産又は高額特定資産の取得により免税事業者とならない事業者等、特殊な状況でなければ受けられます。2割特例を受けるために、事前に届け出の必要はなく、消費税の申告時に2割特例を受ける旨を付記することで適用となります。

本来は簡易課税制度の適用を受けるためには、課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出する必要があるのですが、2割特例利用者が簡易課税制度の適用を受けるには、その課税期間の末日までに届け出を提出すれば、簡易課税制度の適用を受けることが可能です。

簡易から本則は原則2年縛り

簡易課税から本則課税への切り替えは、原則2年たたないと変更できません。簡易課税を選んだ場合、2年間は簡易課税が適用されます。ただし、基準期間の課税売上高が5,000万円超の場合は、強制的に本則課税が適用されます。その翌年の基準期間の売上高が5,000万円以下になった場合は、1年で簡易課税に戻ることになります。

本則から簡易の切り替え、または任意で簡易から本則への切り替えを行う場合、課税期間の初日の前日までに届け出を提出する必要があります。