多くの経営者の方は、自社が競合他社よりも優位に立つため、なんとかして差別化を図ろうというお考えをお持ちであるかと思います。
差別化を図るための要素として、主に以下のものが挙げられます。
- 価格 ②サービス ③アクセス ④経験価値 ⑤商品
これら全ての要素で他社よりも優位に立つことができれば良いのですが、それを実現しようとすると、コストや経営への強いコミットが必要となるため、無理が生じて結果的に事業が長続きしないなど、実際には全ての要素で優位に立つことは容易ではないのではないかと考えます。
こうした5つの要素全てで優位に立つという考えに対し、1つの要素で圧倒的優位に立ち、もう一つの要素で差別化を図るという経営戦略があります。
この戦略を「ファイブ・ウェイ・ポジショニング」といいます。
〈ファイブ・ウェイ・ポジショニングのポイント〉
●1つの要素で圧倒的に優位に立つ
●もう1つの要素で差別化を図る
●残り3つは競合他社と同じレベル
ファイブ・ウェイ・ポジショニングで成功した企業の事例に星野リゾートがあります。
星野社長は以前、星野リゾートは経験価値で圧倒的優位に立っていて、アクセス(星野リゾートの場合は予約のしやすさ)で差別化を図り、残りの3つ(価格・サービス・商品)は競合レベルに合わせているとメディアで話されています。
経験価値:
その土地の伝統工芸が装飾に使われた客室や食文化を楽しめるお食事のほか、身体を目覚めさせる体操やウォーキングイベント・伝統工芸に触れ合える制作体験・その土地に伝わる神話や伝統芸能を題材にしたショーなどが一日を通して行われていて、館内でアクティビティを楽しむことができます。
私も星野リゾートに宿泊したときに、落ち着いたラグジュアリーな雰囲気を大切にしながらも、色々なところで地域の文化や工芸を感じることができ、リラックスとともに「この土地を楽しんでいる」という満足感を得られました。
アクセス:
インターネットからの予約のしやすさに力を入れられています。
例えばホームページを見ると、行き先が決まっていない・どのホテルが良いか分からない人のために「ぴったりホテル診断」というものがあります。年代・誰と何人での旅行か・今回の旅で叶えたいことなどを答えると、希望にあった施設を提案してくれて、「ここに行ってみようかな」という気持ちになり予約へのハードルも低くなっています。
前述の5つの要素のなかで、貴社で優位に立てそうと思われるものはありましたでしょうか。
ファイブ・ウェイ・ポジショニングという戦略が、他社との差別化が迷われている方のご参考になれば幸いです。
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