【コラム】別表六(三十一)の誤記載に注意喚起

別表六(三十一)での記載誤り

令和4年度改正の賃上げ促進税制の適用を受けることが出来る申告が令和5年3月決算法人から始まりますが、これに先立ち、国税庁は「別表六(三十一)を使用するに当たっての注意点(中小企業向け賃上げ促進税制の適用に当たっての注意点)」を公表し、別表の記載に誤りがあり、税額控除額が適正に算出されていない事例が見受けられるとして、注意喚起を行っています。

税理士会も協力呼応

その一環として、日税連他の各単位会に対し注意喚起について周知依頼をし、税理士会側はこれに応えて、各ホームページに一斉にこの情報を掲載しています。税理士会側は、本税制は累次の改正が行われ、法人税確定申告書別表の記載に当たり、改正前の適用要件と混同しての誤記載が考えられるため、適用する制度の要件と申告内容を今一度ご確認ください、と呼び掛けています。

記載誤りの例

国税庁の注意喚起文では、例えばとして、適用年度の雇用者給与等支給額と比較される、前事業年度の雇用者給与等支給額(比較雇用者給与等支給額)の記載に誤りが見受けられる、としています。ここは、前年度記載した適用年度額をそのまま書くのが原則で、誤事例では、当適用年度に退職した従業員に対する給与等の支給額を差し引いたりして、本来であれば本税制の適用を受けることが出来ないにも拘わらず本税制での税額控除の適用を受けていたり、誤って記載した金額に基づいて税額控除額の計算をしていたり、しているようです。

当初申告記載額限度要件

なお注として、次のことにも触れています。本制度には当初申告要件があり、当初申告での別表六(三十一)の控除対象雇用者給与等支給増加額の欄に記載された金額が控除限度額なので、その後に修正申告や更正の請求をしたとしても、この金額を変更することは出来ません。また、雇用安定助成金については、適用判定では雇用者給与等支給額から控除せず、税額控除限度額の計算に於いては雇用者給与等支給額から控除することとされていますが、過去の改正による影響で、比較雇用者給与等支給額が前年記載額と異なっても正しい場合があります。