国も推進する「健康経営」
「健康経営」を所管する行政官庁をご存じでしょうか。「健康」というワードから厚生労働省を想像するかもしれませんが、実は経済産業省です。
経済産業省がヘルスケア政策として取り組んでいることの一つが健康経営になりますが、このヘルスケア政策には3つの柱があります。1.国民の健康増進(健康寿命の延伸)2.持続的な社会保障制度構築への貢献(医療・介護本体の高度化、生産性向上など)3.経済成長(労働力の量と質の確保など)の3つの柱を同時実現させることを政策目標としています。そして、この政策目標実現の需要面からの施策が健康経営の推進(企業が従業員の健康づくりをコストではなく投資として捉え、人的資本投資の一環として推進)です。
健康経営優良法人認定制度
国は健康経営を推進するために各種の顕彰制度を設けています。そのうち最も企業の認定申請が行われているのが「健康経営優良法人」の認定制度で、2021年度における中小規模法人部門での申請法人数は12,849社(認定法人数12,255社)となっており、また、2022年度の申請法人数は2022年11月時点の数字で14,430社と前年より1,500社以上増加し、年を経るごとに申請する企業数が増えており、注目度合いが上がっていることが窺えます。なお、2022年度から健康経営優良法人認定制度の事務局運営が民間に委託され、現在は「㈱日本経済新聞社」がその委託を受けています。
企業における健康経営推進のメリット
企業特に中小規模法人において健康経営優良法人の認定を受ける効果(メリット)にはどのようなものがあるでしょうか。一つは労働市場への効果で、採用活動などで健康経営を活用する企業が増加しています。2022年6月からハローワーク求人票の中で健康経営優良法人ロゴマークが利用可能になり、また、大手就職・転職サイトでは特設ページなどにより健康経営に関する普及啓発を強化しています。その他の効果としては、金融機関84か所(2021年時点)で融資や保証料の健康経営推進に関するインセンティブ措置が採られていることなどが挙げられます。